心を整えるというと、何か特別なことをするように聞こえる。
瞑想。
ジャーナリング。
丁寧にお茶をいれる時間。
どれも、きっと心を整える方法なのだと思う。
けれど、私が張りつめた気持ちをゆるめるためにしているのは、もっと普通のことだ。
友人と話す。
おいしいものを食べる。
好きな番組を見る。
そして、何も生産しない時間を過ごす。
そんな小さな時間に、私は何度も助けられてきた。
子どものことを考え続けてしまう
ADHDのある息子との生活では、頭の中から子どものことが離れない。
学校のこと。
勉強のこと。
提出物のこと。
これからの進路のこと。
今すぐ答えが出るわけではないのに、同じことを何度も考えてしまう。
息子が動かなければ不安になり、つい声をかける。
言いすぎてしまったあとは、自分を責める。
「もっと違う言い方ができたのではないか」
「黙って見守ったほうがよかったのではないか」
考え始めると、なかなか止まらない。
体は休んでいるはずなのに、頭の中はずっと動いている。
私に必要だったのは、考えをまとめる時間だけではなく、考えることから離れる時間だった。
友人と話すと「母親」だけではない自分に戻れる
私にとって大きな回復の時間は、友人とのランチや飲みに出かけることだ。
子どもの話。
仕事の話。
自分の話。
最近は、健康や美容の話も多い。
そして、どうでもいいことで笑う。
「うちも同じだよ」
「それは大変だったね」
そんな言葉をもらうだけで、張りつめていた気持ちが少しゆるむ。
何かを解決してもらうわけではない。
正しい答えが見つかるわけでもない。
それでも、誰かと話すことで、自分の中だけで大きくなっていた悩みが、少しだけ外に出ていく。
「私だけではない」と思えることは、想像していた以上に心強かった。
おいしい料理を食べ、少しお酒を飲みながら話していると、私は「息子の母親」だけではない自分に戻れる。
母でもあり、妻でもある。
でもその前に、私自身の人生がある。
友人との時間は、そのことを思い出させてくれる。
家では、何もしない時間をつくる
いつでも友人と会えるわけではない。
だから家でも、短い時間で気持ちを切り替えるようにしている。
子どもが寝たあと。
家事がひと通り終わったあと。
冷蔵庫からビールを1缶出す日もあれば、ワインを2杯ほどゆっくり飲む日もある。
基本的に、平日はそれ以上飲まない。
酔うためではなく、私にとっては一日の緊張をほどくための時間だ。
もちろん、お酒でなくてもいい。
温かい飲み物でも、好きなお菓子でもいい。
大切なのは、家事や子育てから少しだけ離れ、自分のために時間を使うことだと思っている。
オンデマンドで好きな番組を流す。
照明を少し落とす。
ソファに座る。
その時間は、何かを勉強するわけでも、仕事をするわけでもない。
家を片づけるわけでもない。
誰の役にも立たない時間。
以前の私は、何もしていない時間に罪悪感を持っていた。
まだ洗濯物がある。
片づけたい場所もある。
調べなければならないこともある。
でも、すべてを終わらせてから休もうとすると、休める時間はなかなかやってこない。
今は、全部終わっていなくても、いったん手を止める。
何も生産しない時間が、次の日を迎えるために必要だと思えるようになった。
整っていないからこそ、休む
家の中も、身の回りのことも、ひとつずつ整えたいと思っている。
断捨離も、まだ途中。
家事も、仕事も、子育ても、理想どおりにはできていない。
以前は、すべてが整ったら心にも余裕ができると思っていた。
けれど、現実には、すべてが整う日はなかなか来ない。
だから、整ってから休むのではなく、整っていない途中でも休む。
子どものことが解決していなくても。
明日やることが残っていても。
いったん心をゆるめる。
「整えたい」と思えること自体が、今の私に少し余裕がある証拠なのかもしれない。
余裕がなくなれば、整えようと考えることさえできなくなる。
だからこそ、心をゆるめる時間も、暮らしを整えるための一部だと思っている。
母艦でいない時間も必要だった
私は、息子を操縦するのではなく、戻ってこられる母艦でいたいと思っている。
けれど、ずっと母艦でい続けることはできない。
いつでも落ち着いて。
何があっても動じずに。
子どもを見守り続ける。
そんなことは、私にはできなかった。
自分の心が張りつめたままでは、息子の言葉や態度を受け止める余裕もなくなる。
小さなことにも反応し、必要以上に怒ってしまう。
母艦でいるためには、母艦でいない時間も必要だった。
友人と話す時間。
おいしいものを食べる時間。
好きな番組を見る時間。
何も考えずに過ごす時間。
それは、子育てから逃げることではない。
もう一度、息子と向き合うために、自分を回復させる時間なのだと思う。
完璧に整わなくても、今日を終える
心をゆるめたからといって、悩みがなくなるわけではない。
次の日になれば、また息子のことで心配する。
また言いすぎてしまう日もある。
それでも、張りつめたまま朝を迎えるより、少しでも力を抜いて眠りたい。
母である自分も大切にする。
母艦でいない時間も持つ。
完璧に整わなくてもいい。
でも、灯は消さない。
今日も少しだけ心をゆるめて、一日を終える。
母艦を整える習慣
体を動かし、頭の中を空っぽにする時間について書いています。
▶︎ 母艦を整える習慣①|呼吸を取り戻す時間(ホットヨガLAVA)
母親だけではない自分に戻れる、在宅ワークについて書いています。
▶︎ 母艦を整える習慣②|子育てと両立する在宅ワークという整え時間
母艦になると決めても、すぐには見守れるようにならなかった夜の記録です。
▶︎ ADHD息子を見守れない夜|「母艦になる」と決めても、すぐには変われなかった
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